泉鏡花「艶書」と近代

資料作成にあたり、一部旧字体、仮名遣いを改め、ルビを省略した。 また、「艶書」からの引用は岩波書店『鏡花全集 巻十五』から行い、ページ数を括弧内に示す。 艶書 作者:泉 鏡花 発売日: 2012/10/04 メディア: Kindle版 泉鏡花「艶書」:大正二年四月、『…

声の採用―太宰治「恥」についての検討―

女性作家が選ぶ太宰治 (講談社文芸文庫) 作者:太宰 治,江國 香織,角田 光代,川上 弘美,川上 未映子,桐野 夏生,松浦 理英子,山田 詠美 発売日: 2015/02/11 メディア: 文庫 ◆先行研究 創作集『女性』の全作品を取り上げた渡部は、「恥」については、「発表当時…

記憶と感覚、その他者性をめぐって ―カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』における記憶と認識―

忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) 作者:カズオ イシグロ,Kazuo Ishiguro 発売日: 2017/10/14 メディア: 文庫 The Buried Giant 作者:Ishiguro, Kazuo 発売日: 2016/01/07 メディア: マスマーケット 本稿において、以下、断りのない場合、()内は土屋訳『忘…

『斜陽』あれこれ

こんにちは。前回更新してから半年以上経っていました。Twitterの文字制限がうざすぎるのでこちらにまとめます。一日一太宰の系列です。とは言いつつ、あまりまとまっていないので断章形式(行き当たりばったりのことです)で書きます。ページ数を引用すると…

切り札として死が残ってる

Twitterをやめた。せいせいしたぜ万歳と思うと同時に、今までタイムラインを眺めるのに費やされていた時間が宙に浮いてしまったので、昨日からずっと寝ている。無為の生活、生活。 きっかけは本当に些細なことであって、ありがちに、ただある種の呟きを目に…

『アダム・ビード』における陰画

★『アダム・ビード』(”Adam Bede”):1859年 イギリス・ヴィクトリア朝時代の女流作家ジョージ・エリオット(George Eliot)による長編小説。16世紀の農村を舞台にしており、中流階級のリアリズムを描き出した。実直な大工のアダム・ビードはヘイスロープ村…

月曜日の朝、雨降り、ポプラの木の上から

月曜日、朝、寝坊する夢を見てそれがリアルに脳裡に残る。私は、非常に不出来な人間ではないかと思う。寝ては起きられず、仕事は真面目にゆかず、学業は振るわず、一途に一人の人を想うこともできず……。月曜を生きる人間には自分の思うようにならないところ…

摘む(部分)

教室では銃弾の代わりに視線が飛び交っていた。忍び笑い、咳払い、自然なように見えるある生徒の発言以下エトセトラは、その教室内部の者と外部の者とで読み取ることのできる意味に大きな懸隔がある。教師が持参したノートがそのまま写されていく黒板の上に…

発願

鳩は基本的には好きな鳥である。基本的には、というのは語弊がある、彼ら・彼女らが地上にいる限りは良いやつらだと思っている。個体ごとに微妙に異なっている色彩の感じ、外界からのほんの些細な刺激で神経質に飛び回る様、歩調に合わせて自然にどうしよう…

ありふれた春の日

この間、私に恋人ができた。ゆゆしき事件である。よくわからないうちに好かれていて、あれよあれよという間に付き合う段となってそのまま三か月経った。はじめのうちは始終緊張していて話すことひとつひとつに気を遣い、空回りもたくさんした覚えがあるけど…

てきとー日記

ミスチルの桜井になりたい。小学三年生のとき、父さんがカラオケで歌っていた歌を聞いてからそう思ってる。桜井になれば、僕が給食の時間にちょっと歌えばクラスのみんなが泣いちゃうのだ。だからミスチルの桜井になりたい。 母さん、今日って何曜日だっけ。…